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配偶者控除から夫婦控除への変更が検討される

最終更新日: 2017年7月24日

配偶者控除から夫婦控除への変更が検討されるのアイキャッチ画像

注意:夫婦控除への変更はされず、配偶者控除の提供範囲を103万円から150万円に変更するという内容で決着が着いたようです。

以下の内容は2016年9月時点で検討されていた、夫婦控除についての内容です。



専業主婦を妻に持つ夫は、所得から配偶者控除を差し引いて税額が決定していました。

しかし、配偶者控除を満額で受けるには、妻の収入が103万円以内でないといけないことから、女性の社会進出を邪魔しているといわれています。

人口減少により女性の活躍がますます期待されていることから、配偶者控除から夫婦控除への変更が検討されています。

年収103万円の壁とは?

年収103万円の壁とは?のアイキャッチ画像妻が専業主婦をしている家庭が一般的だった昭和36年に、主婦をしている妻を養う夫のために配偶者控除が作られました。

この配偶者控除があることで、夫の所得から配偶者控除である38万円を引くことでき、税額が少なくなるようになっています。

しかし、高度成長期が終わって、夫の収入が伸びにくい環境が広がり、徐々にパートなどにでる主婦が増えてきています。

主婦の収入が家庭を維持するために重要になってきたのですが、103万円を超えてしまうと配偶者控除を受けられなくなるので、今でもパート収入を103万円以内に抑える人が多いのです。

これがいわゆる「103万円の壁」と呼ばれるものです。

夫の収入がある程度あり、妻の収入が103万円以内でも問題ないのであればよいのかもしれません。

しかし、夫の収入が少ない場合、妻の収入が103万円に抑えられていると、生活が苦しくなります。

また、人口の減少を受けて、女性の社会進出が求められるようになってきているのですが、この103万円の壁が女性の社会進出の足かせになってきているのです。

現在では、共働きの世帯が専業主婦のいる世帯よりも多くなり、制度自体が時代に合わなくなってきています。

夫婦控除はどういう形になるのか?

平成28年9月16日現在では、配偶者控除を見直して、夫婦控除への変更が検討されています。

これまでの配偶者控除では、専業主婦がいる世帯を主な対象としていたのですが、夫婦であれば控除を受けられるというのが夫婦控除です。

夫婦であれば控除を受けられるということは、妻が働いている世帯も控除対象になることから、控除を受けられる世帯は今以上に増えることになります。

控除を受けられる世帯が増えると、今と控除額が同じだと国の収入である税金が減ります。

しかし、国の収入を減らすことはしないという方針があるので、以下のことを議論することになるようです。

  • 控除の方法をどうするのか?
  • 控除の金額をどれくらいにするのか?
  • 控除が受けられない夫の年収上限をいくらにするのか?

控除の方法をどうするのか?

配偶者控除では、夫の所得から38万円を控除して、その後に残った所得に税率をかけて、税額が導き出されていました。

この場合、一律に所得から38万円が引かれることになるので、税率の高い高所得者の方が減税額は多くなっていました

夫婦控除ではここを見直して、所得から控除するのではなく、税額から控除する形に変更することが検討されています。

この形になると、低所得者と高所得者で同じ税額が控除されることになり、不公平感をなくすことができます。

また、高所得者の控除額を減らすことも可能なので、夫婦控除になることによる国の収入減少を抑えることも可能です。

控除の金額をどれくらいにするのか?

税額から一定額を控除する形になった場合に、どれ位の金額を控除するのかも今現在検討されています。

夫婦控除になることで、低所得者の減税額も少なくなるようでは不満が大きくなるので、低所得者への配慮をしながら決定しなければなりません。

また、一人親世帯の控除をどうするかという課題も残っています。

夫婦控除が受けられない夫の年収上限をいくらにするのか?

これまでの配偶者控除では、夫の収入がどれだけ多くても、控除を受けられました。

しかし、夫婦控除に変更する際には、夫の年収が高い場合には、控除が受けられないようにすることが検討されています。

この金額が、年収800万から1000万という案が出ており、今後の議論により最終的な金額が決定するようです。

夫婦控除によって女性の社会進出を加速させる

控除の変更によって家庭の税金は増えるのか、減るのかといったことばかりが注目されがちですが、今回の制度変更は女性の社会進出を加速させるために行われます。

夫婦控除に変更されることにより、もはや103万円の壁もなくなるので、女性は働きたいだけ働くことができます。

しかし、130万円以上の収入になると、妻にも社会保険料の支払いが発生することになるので、今度はそこが女性の年収の上限となる可能性もあります。

今回の変更でどれだけ女性の社会進出が促されるのかが注目されます。

まとめ

時代に合わなくなった、配偶者控除から夫婦控除への変更が検討されています。

変更により、いわゆる「103万円の壁」がなくなることで、女性の社会進出を促すことが期待されています。

平成30年1月を目標に制度設計が行われていきます。

追記

2016年9月23日から25日に日経新聞社とテレビ東京による世論調査が行われて、以下のような結果が出ました。

日本経済新聞社とテレビ東京による23~25日の世論調査で、専業主婦世帯を優遇する所得税の配偶者控除の廃止に「賛成」が53%、「反対」が32%だった。

配偶者控除廃止「賛成」53% 本社世論調査、内閣支持率は58%

働きにでる女性が増える中で、配偶者控除の廃止に賛成する人は53%になっていたようです。

しかし、32%は今でも反対しているようです。

専業主婦層にだけ限ると、53%もの人が反対しており、制度変更が順調に進むのかはまだ予断を許さない状況にあると言えそうです。

2016年9月19日作成
2017年1月5日更新

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